城山浄水場の現在と未来|命の水を守る仕組みと再整備計画の全貌
神奈川県民の日常生活を根底から支える水道水。その一大供給拠点として半世紀以上にわたり重責を担ってきたのが、相模原市緑区に拠点を置く城山浄水場です。雄大な城山ダム(津久井湖)の直下に位置し、県央・湘南地域をはじめとする広大なエリアへ清浄な水を送り続けてきました。
現在、高度経済成長期に建設されたインフラ設備の高経年化対策や、頻発する自然災害への耐震化、さらには将来的な水需要の変化を見据えた再整備計画が大きな転換期を迎えています。「普段飲んでいる水はどこから来て、どのように浄水されているのか」「水質の安全性や一般見学の可否はどうなっているのか」といった疑問に対し、神奈川県企業庁の最新公式データと現地取材をもとに、城山浄水場の真実を解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:城山浄水場は相模原市緑区の城山ダム(津久井湖)を水源とし、神奈川県内へ安全な水を届ける基幹インフラとして機能している。
- 要点2:凝集沈でん・急速ろ過・適正塩素処理という厳格な浄水プロセスと、国基準を大幅に下回る高精度の水質管理体制が維持されている。
- 要点3:県営水道施設再整備計画に基づき、老朽化更新と強靭化が推進され、非常時バックアップ機能の強化と持続可能な水インフラ構築が進んでいる。
【施設概要と歴史】相模原市緑区に佇む巨大インフラ|津久井湖と歩んだ半世紀
相模原市緑区城山に位置する城山浄水場は、神奈川県企業庁が管理・運営する中核的な浄水施設の一つです。同施設を語る上で欠かせないのが、相模川水系を堰き止めて造られた多目的ダムである城山ダム(津久井湖)の存在です。
昭和30年代後半から40年代にかけ、首都圏の急激な人口増加と産業発展に伴い、神奈川県内では深刻な水不足が懸念されていました。この旺盛な水需要に応えるべく、相模川総合開発事業の一環として建設が進められ、1960年代後半に本格稼働を開始したのが城山浄水場の歴史の始まりです。
広大な敷地内には、原水を取り込む着水井から沈でん池、ろ過池、浄水池、そして配水ポンプ棟に至るまで、重厚な土木構造物が整然と並びます。津久井湖の水位差や地形の高低差を巧みに生かした導水・浄水システムは、当時の高度な土木技術の結晶であり、現在に至るまで半世紀以上にわたって県民の命の水を守り続けています。

【水づくりの仕組み】津久井湖の原水が蛇口に届くまで|驚異の浄水技術と水質検査結果
私たちが日常で何気なく口にする水道水は、どのような工程を経て精製されているのでしょうか。城山浄水場では、河川水特有の濁りや微細な不純物を確実に取り除く急速ろ過方式が採用されています。
水づくりの基本プロセスは以下の通りです。
- ① 着水井(ちゃくすいせい):津久井湖から導水管を通じて送られてきた原水の勢いを弱め、水位を安定させます。
- ② 混和池・薬品注入設備:水中の微小な濁り成分を固めるため、凝集剤(ポリ塩化アルミニウムなど)を注入して急速攪拌します。
- ③ フロック形成池・薬品沈でん池:ゆっくりと水をかき混ぜることで、濁りの粒子同士をくっつけて大きな塊(フロック)に育て、重力によって池の底へ沈殿・分離させます。
- ④ 急速ろ過池:沈でん池を通過した上澄み水を、厚い砂やアンスラサイト(無煙炭)の層に通し、目に見えない極小の浮遊物質まで徹底的にキャッチします。
- ⑤ 消毒・浄水池:次亜塩素酸ナトリウムを適正量注入して安全に殺菌・消毒し、完全に浄化された飲用水として一時貯留します。
水質の安全性に関しては、神奈川県企業庁が毎月公表している水質検査結果において、水道法で定められた51項目の水質基準をすべて余裕をもってクリアしています。大腸菌・一般細菌の不検出はもちろんのこと、近年全国的に関心が高まっている有機フッ素化合物(PFOS・PFOA)や残留農薬、微量有機物質に関しても極めて厳格なモニタリングが常時行われており、全国トップクラスの清浄度を誇っています。
【最新データ比較】神奈川県内主要浄水場の能力と城山浄水場の位置づけ
神奈川県内には複数の大規模浄水場が存在し、それぞれが有機的にネットワークを結びながら県内全域へ給水を行っています。各施設の特徴と位置づけを客観的データで比較・整理しました。
| 施設名 | 取水源・主要水系 | 主な供給エリア | 施設特性・再整備動向 |
|---|---|---|---|
| 城山浄水場 | 城山ダム(津久井湖) 相模川水系 | 相模原市、県央地域、湘南地域への送水 | 上流部の安定水源を活かした基幹拠点。耐震化と設備更新が推進中。 |
| 寒川浄水場 | 相模川(寒川取水堰) | 湘南・三浦半島・横浜・横須賀方面等 | 県内最大級の浄水能力。オゾン・活性炭を用いた高度浄水処理を導入。 |
| 谷ヶ原浄水場 | 相模湖・津久井湖 | 相模原市、町田市境、県央一部 | 相模原北西部の需要を支える重要施設。近隣施設との連携強化。 |
| 伊勢原浄水場 | 相模川(寒川より分水) | 伊勢原市、秦野市、平塚市周辺 | 県西・県央の内陸給水をカバーする地域ハブ浄水場。 |

【実態検証】再整備計画と現在の状況|老朽化インフラの更新戦略
高度経済成長期に一斉に整備された全国の水道施設と同様、城山浄水場もコンクリート構造物の劣化や機械・電気設備の耐用年数超過という課題に直面してきました。これに対し、神奈川県企業庁は「県営水道施設再整備プラン」を策定し、段階的な設備更新と耐震補強工事を継続しています。
現在進行している再整備の核心は、単なる機器の新品交換にとどまりません。
- 耐震性の抜本的強化:大規模地震(レベル2地震動)が発生しても倒壊・破断せず、応急給水を継続できる構造基準への改修。
- 省エネルギー・脱炭素化の推進:高効率ポンプの導入やインバータ制御の採用による電力消費量の大幅削減。
- 水運用ネットワークの二重化(リダンダンシー):城山浄水場と谷ヶ原・寒川など他浄水場間での相互バックアップ体制を強化し、局所的な事故や渇水時でも給水を止めない仕組みの構築。
現場関係者の証言によると、「水道を1秒も止めることなく、稼働させながら老朽化した池や配管を順次切り替えていく工事は、極めて高度な施工管理が求められる」といいます。日々の確実な給水を維持しつつ、未来の50年を見据えた強靭化工事が着実に進められています。
【一般見学とアクセス】見学手順・住所と現地で知る水道の大切さ
巨大な浄水池や普段は見ることのできない水づくりの現場は、社会科見学やインフラ愛好家の間でも高い関心を集めています。
城山浄水場の所在地とアクセス情報
- 住所:神奈川県相模原市緑区城山(津久井湖・城山ダム近傍)
- アクセス(公共交通):JR横浜線・相模線・京王相模原線「橋本駅」北口より神奈川中央交通バス「三ヶ木」行き等に乗車、「城山高校前」または「ダム下」周辺バス停下車。
- アクセス(車):首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「相模原インターチェンジ」から約10〜15分。
一般見学の可否と申込み方法
城山浄水場をはじめとする神奈川県企業庁の浄水施設では、小学校の社会科見学や地域住民向けの見学受け入れを定期的に実施しています。ただし、水道施設は重要な重要防護インフラであるため、事前連絡なしの飛び込み見学や自由立ち入りは厳格に禁止されています。
見学を希望する場合は、神奈川県企業庁の公式ウェブサイトまたは担当窓口(企業庁水道施設課・各水道営業所)を通じて、事前の団体見学予約や水道週間(毎年6月上旬)の特別公開イベント情報を確認する必要があります。巨大なろ過池で水が澄んでいく様子を間近で観察できる体験は、水資源の大切さを実感する貴重な機会となっています。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|「水道水への不安」を科学的に検証
インターネット上やSNSでは、時折「ダム湖の水は汚れているのではないか」「塩素消毒によるカルキ臭やトリハロメタンが心配」といった不安の声が散見されます。しかし、これらの多くは水道工学の現状に対する誤認に基づいています。
第一に、津久井湖の原水は丹沢山地や相模川上流の豊かな自然環境に育まれた清冽な水系です。取水地点では24時間の水質自動監視装置が稼働しており、万が一油分や有害物質が混入した場合は即座に取水を遮断する二重三重の安全網が敷かれています。
第二に、塩素消毒に関する懸念です。日本の水道水質基準で定められている残留塩素濃度は「水道蛇口で0.1mg/L以上」ですが、近年の注入制御技術は飛躍的に進化しており、必要最小限の濃度で病原菌を死滅させつつ、カルキ臭を極限まで抑える精密注入が実現しています。煮沸や浄水器を通さずとも、蛇口から出たそのままの状態で極めて高い安全性とおいしさを両立しています。
【プロの結論】公共インフラの更新期における市民理解とリスク管理の判断基準
現代社会における水道インフラは、「蛇口をひねれば水が出るのが当たり前」という無意識の信頼の上に成り立っています。しかし、その背景には昭和期に敷設された施設の更新費用や、人口減少に伴う水道料金収入の減少といった構造的課題が存在します。
城山浄水場の再整備計画は、単なる一施設の延命工事ではなく、地域社会全体の生活基盤と防災力を維持するための必須投資です。市民一人ひとりがインフラの現状と適正コストに関心を持ち、災害時への個人備蓄(1人1日3リットル×3日分)を怠らないことこそが、強靭な社会を支える最も確実なリスク管理といえます。
【城山浄水場】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:個人や家族単位でも城山浄水場の見学はできますか?
A1:原則として学校教育や自治会などの団体見学が中心ですが、毎年6月の「水道週間」などに合わせた一般公開イベントや企業庁主催のツアーが開催される場合があります。詳細は神奈川県企業庁の公式広報をご確認ください。
Q2:城山浄水場の水はどこの市や町に配水されていますか?
A2:主に相模原市、座間市、海老名市、大和市、綾瀬市、藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町などの県営水道エリアへ送水・供給されています。水運用ネットワークにより、需要や季節に応じて各浄水場間で融通が行われます。
Q3:災害時に城山浄水場が停電しても給水は続きますか?
A3:自家発電設備が完備されており、商用電源が喪失した場合でも主要な浄水・送水設備を一定期間稼働させることが可能です。また、高低差による自然流下を活用した配水系統も組み込まれており、停電耐性が高められています。
まとめ:神奈川の水を未来へ繋ぐ城山浄水場の真価
相模原市緑区の自然豊かな環境の中で、日夜稼働を続ける城山浄水場。城山ダム(津久井湖)の恵みを高度な技術で安全な飲み水へと変え、広大な県民生活を支えるその役割は、稼働開始から半世紀を経た今も色あせることはありません。
着実に進む再整備計画によって耐震性と安全性がさらに向上し、次世代へと受け継がれる強靭な水インフラの構築が進んでいます。何気なく使っている日々の水が、こうした緻密な技術と現場のたゆまぬ管理によって支えられているという事実は、私たちが地域のインフラを見つめ直す上で重要な視点を与えてくれます。 (出典: 城山 浄水 場(Yahoo!ニュース))